睡眠障害と生活習慣病との相関
2007年11月の日本睡眠学会と日本時間生物学会の合同学会で、兼板佳孝博士 (日本大学医学部社会医学講座)が、「24時間社会と健康」というテーマで 講演されました。兼板先生のご好意により、その中のスライドをお借りして、 その内容の一部を睡眠障害と生活習慣病との相関として要約させて いただきます。
この図は、24時間社会という社会背景から、 産業事故、精神疾患(うつ病等)、身体疾患(生活習慣病)に至る過程を ブロック図で示したものです。現代の社会変化は睡眠障害を引き起こし、私達の生活に 少なからず影響を与えているようです。
実際、日本人の睡眠時間は30年前に比べて30分短くなっており、6時間未満の 割合が31.1%もあります。その結果、睡眠によって休養が取れていないと 言われている人の割合は、5人に1人となっています。
また、乳幼児の就寝時間の変化も著しく、親の生活パターンに引っ張られて、 夜10時以降に就寝する子供が激増しています。
睡眠時間と生活習慣病との相関
生活習慣病と呼ばれる疾患には、肥満、糖尿病、高血圧、虚血性心疾患等 がありますが、これらの疾患と睡眠障害が密接に関連しているというデータが 相次いで示されています。
睡眠時間と肥満
このデータは、睡眠時間が短くなると肥満になりやすく、肥満になると 睡眠障害になりやすいということを顕著に示しています。
睡眠時間と糖尿病
このデータは、U字カーブを示しており、中心付近の睡眠時間から 短くても長くても糖尿病になりやすいことを示しています。
睡眠時間と高血圧
このデータは、糖尿病と同様にU字カーブを示しており、中心付近の 睡眠時間から短くても長くても糖尿病になりやすいことを示しています。 特に、睡眠時間が短い方に相関が高く出ています。
睡眠時間と虚血性心疾患
虚血性心疾患というのは、一般に馴染みのない言葉ですが、動脈硬化、狭心症、 心筋梗塞などを指してます。
このデータは、肥満や糖尿病と同様にU字カーブを示しており、中心付近の 睡眠時間から短くても長くても糖尿病になりやすいことを示しています。
睡眠障害から死亡に至る危険性
これらのデータの結果より、睡眠障害により十分な休息が取れていない状態が 続くと、生活習慣病を引き起こし、それが重度となって限界を超えると 虚血性心疾患に至って命を落とす仕組みを、この図は表しています。
睡眠時間とうつ病との相関
この図は、睡眠時間とうつ得点を表していますが、これまでの生活習慣病の 図と違い、睡眠時間の幅が広いことが特長です。睡眠時間が短くなるにつれ、 または、長くなるにつれ、うつ得点急激に上昇して、睡眠時間とうつ病との 相関の高さがうかがえます。
下図は、睡眠障害とうつ病は双方向の相関関係があることをハッキリと明示した図です。双方向の相関関係があるということの意味することは、うつ病を改善すれば睡眠障害が改善する可能性が高い、睡眠障害を改善すればうつ病が改善する可能性が高い、ということを物語っているのです。これまで、この考え方は、明言されてきませんでしたが、今では、行政自身がこのことを提唱するようになりました。
睡眠と健康
この図はとても革新的な図だと思います。これまで、生活習慣病との関わりで 喫煙、飲酒、運動不足などが語られることがほとんどでしたが、この図では、 その中に、「睡眠」という項目が明確に配置されています。そして更に、睡眠とうつ病と産業事故との関連も示されています。
これが、国策として行われている「健康日本21」や「自殺対策基本法」での 対応を明確に示したものと言えるのではないでしょうか。
そして、良質な睡眠を得ることによって、これらの疾患や自己を防止する意味で、 次の二つのことがうたわれています。
光療法の役割
このように、「健康日本21」や「自殺対策基本法」等、国を挙げて 睡眠障害・不眠対策が行われていることが理解できるかと思います。
そして、光療法は、身体の内側から生体リズムを整える睡眠障害の有効な治療法あり、 予防法でもあります。したがって、これらの対策の一部として十分役に立つことが期待でき、 日本全体をもっと元気にできるのではないでしょうか。
最後に、大変貴重な内容のスライドをお貸しくださった兼板佳孝博士(日本大学医学部社会医学講座)に深く感謝いたします。
