うつ病治療 その1

光療法推進委員会

うつ病治療 その1

光療法がうつ病に有効であることが実証されたことが最初の文献で総括されています。原文は「8.うつ病の時間生物学的治療」からPDFで見られます(承諾済)。新しいものから順に並べましたので、光療法のうつ病に対する研究が進み、ここ数年でその有効性が実証されてきた過程がわかります。

自殺者数が10年連続で3万人を超え、その原因の第一位がうつ病です。そして、今や子供から大人まで誰でもうつ病にかかってもおかしくない厳しい社会となり、国家的な問題となっています。このような厳しい状況で、うつ病に対して光療法が有効であることが確認されたことは、社会的に大変大きな価値を持っています。

情報元 要約とコメント

睡眠医療 Vol.2 No.1 2007
(株)ライフ・サイエンス

特集 うつと睡眠をめぐって

「8.うつ病の時間生物学的治療」

越前屋 勝氏
秋田大学医学部神経運動器学講座 精神科学分野

うつ病に対して、断眠療法と高照度光療法の有効性がデータで示されています。これらは、生体リズムに作用を及ぼす治療法で時間生物学的治療といわれ、その代表的なものです。

まず、断眠療法ですが、これは古くから有効性が認められていましたが、効果が持続しない点と断眠療法の回復睡眠で逆戻りしてしまうという欠点があり、一般化されませんでしたが、近年、ヨーロッパを中心に積極的に研究されています。

断眠療法には、①一晩全く眠らせない全断眠、②夜間後半部分断眠、③夜間前半部分断眠、④REM睡眠のみを選択的に遮断する選択的REM断眠と言った方法がありますが、①と②が一般的だそうです。

断眠療法による気分の改善はあっても、その後の回復夜の睡眠で逆戻りしてしまう場合が多いので、薬物療法と併用するか、高照度光療法で睡眠リズムを制御することにより効果を持続させる方法が述べられています。

次に、高照度光療法ですが、断眠療法と異なり、その有効性の有無が最近まで議論がありました。著者は、当初の研究の多くは試験期間が短かったかもしれないことを示唆しています。

しかし、最近の研究では、Kripke氏が抗うつ薬と比較して、その効果発現が早いとする報告がされていいます。また、Martiny氏は、102人ものうつ病患を2つのグループに分けて、抗うつ薬を服用しながら、光療法を併用するグループとしないグループに分けて5週間にもわたる治療効果を比較したところ、うつ状態の改善効果は光療法を併用したグループの方が有意に大きくなったことを紹介し、抗うつ薬の付加治療としての有効性の高さを示しています

また最近では、2種類のメタアナリシスによって、「光療法はうつ病に対して抗うつ効果を示すこと」 と 「断眠療法にの補助療法として効果的であること」が示され、うつ病に対して光療法が推奨されるに至っています。この2種類のメタアナリシスの結果が、光療法がうつ病に対して有効であることを実証する大きな決め手となっています。

まとめとして、断眠療法と光療法は、抗うつ薬に比べて効果発現が早く、副作用が少ないとする有益な治療法であるが、日本では普及していないのが現状です。その理由を、これらの知識が一般精神科医の間に普及していない、施行が複雑に感じる、保険請求が出来ないといった点を指摘しています。しかし、うつ病治療においては、抗うつ薬だけではなかなか改善しないケースも多いので、これらの治療方法と併用すれば治療期間の短縮につながることに言及しています。

臨床精神医学 第35巻増刊号 2006

「高照度光療法」

大川 匡子氏、藤村 俊雅氏
滋賀医科大学睡眠学講座

高照度光療法は、当初、冬季うつ病(季節性感情障害)や概日リズム睡眠障害に有効であることから知られていましたが、その他にも、老年性の睡眠障害や認知症性疾患で見られるせん妄や、妊婦のうつ病、月経前症候群に対する有効性も示されてきていることが紹介され、極めて幅広い応用範囲を持つ治療法であることが紹介されています。

興味深い記述として、冬季うつ病(季節性感情障害)に対する抗うつ効果の考察において、高照度を浴びるとセロトニン機能が上昇することが確認されており、その他の事象も踏まえて、高照度光療法は、セロトニン神経系と介して効果を発揮していると考えられていることが紹介されています。

これに関連して、最近では、うつ病(非季節性うつ病)に対しても高照度光療法が単独で抗うつ効果が認められたという報告が見られており、うつ病に対しての適用も検討されてきていることが紹介されています。

また、従来より高照度光療法の安全性、副作用の無さは認められていましたが、あらたに、10,000ルックスの照度で5年間にわたり、のべ1,250時間の照射を行った研究でも重大な副作用は出現しなかったことが紹介されており、再度、安全性が確認されたことが紹介されています。

分子精神医学 Vol.5 No.1 2005
「気分障害における睡眠異常とその治療」

亀井 雄一氏
国立精神・神経センター国府台病院精神科

うつ病にともなう睡眠障害、逆に、睡眠障害に伴う気分障害に関して論じ、睡眠障害とうつ病の相関関係に言及しています。実際、不眠が1年以上続くと、うつ病が発症する危険率は通常の40倍に高まることが紹介されており、不眠がうつ病を引き起こす危険因子であることが説明されています。

また、交代制勤務が5年未満の勤務者におけるうつ病の有病率が5%以下であるのに対し、勤務を5年以上続けた勤務者では30%近くまで上昇しているという、衝撃的なデータも紹介されております。このことから、交替制勤務は、慢性的な睡眠不足状態にある場合が多いので、睡眠不足そのものがうつ病を引き起こす危険因子であると説明されています。

脳の科学, 25: 2003

「光療法によるうつ病の治療」

北野 雅史氏、山田 尚登氏
滋賀医科大学 精神医学講座

冬季うつ病(季節性感情障害)に対して従来の抗うつ剤は無効であり、高照度光療法が著効したことから新しいうつ病の治療法として注目されてきました。しかし、この文献では、光療法が非季節性のうつ病に対しては、十分検討されていないと紹介されています。しかしながら、光療法が非侵襲的(生体内の恒常性を乱す可能性が無いこと、つまり他に悪影響を与えないこと)であることから、うつ病の一般的な治療法になることを期待していると結んでいます。

また、妊婦のおよそ5%が妊娠中にうつ病にかかることが知られていますが、妊娠中は薬物治療が使用出来ないため、光療法に期待がかかっているそうです。実際に海外で行われた成功例を紹介しています。更に、副作用を生じやすい高齢者のうつ病に対しても光療法が有効である可能性が高く、今後の検討が期待されていることが紹介されています。

PSIKO Apri.2002

「うつ病と睡眠 概日リズムと光の要因」

遠藤 琢郎氏
北海道大学大学院医学研究科・統合生理学講座・医学部講師

うつ病に高い確率で伴う症状として睡眠障害と摂食障害があり、特に睡眠障害は必ずと言っていいほど見られます。そこで、睡眠とうつ病の関連に関して調査されています。

ラットの睡眠実験では、数日間断民させるとすべて死亡するそうです。つまり睡眠は生命維持に不可欠であることわかります。ここまでは一般人でも想像がつきますが、逆に、睡眠を操作することでうつ病をコントロール出来る「断眠療法」が紹介されています。残念ながら、持続性が無いために一時的な治療としてしか使えません。

ただ、一時的にでもうつ気分が改善されるのは、他の文献によると、断眠によって一時的に睡眠・覚醒リズムと生体リズムの同調を促進することで効果を示すという仮説が紹介されていました。このことは、生体リズムを正常に整えてあげることが出来れば、うつ気分を抑制できることを示しているため、光療法に大きな期待がかかると推測されます。

また、冬季うつ病に関する記述の中で、新しい考え方が紹介されています。当初、冬季うつ病は、概日リズム異常に起因すると考えられていたのですが、どの時間帯に光をあてても効果を発揮することから、むしろ、光自体に抗うつ効果があるのではないかと考えられるように変化してきているそうです。このことは、つまり、非季節性のうつ病にも有効性が期待できることを示していると推測できます。

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