アルツハイマー型認知症患者の不眠・徘徊・介護
アルツハイマー病や認知症患者の不眠や徘徊は、症状的には、高齢者の不眠症状を超えたもので、脳に障害が発生することにより起こり、介護の問題が急に大きくなります。但し、高齢者だけに限らず、若い年齢においてもおこる若年性アルツハイマー病もあります。
高齢者の不眠は概日リズム睡眠障害の一つであり、アルツハイマー病や認知症患者となると、不眠に限らず、昼夜逆転現象、徘徊、興奮、せん妄等などの異常行動まで発展する場合が多く見られるようになります。したがって、家族の介護や、療養所での介護は一層重労働化してきます。
このような症状の背景にも、生体リズムの乱れがあることがわかっています。その原因は、前節にある高齢者の不眠の原因を推し進めたもので、
- @昼夜を区別する時間的な手がかりが衰弱すること
- A生体リズムを構成する中枢機構自体(生体時計)の機能的な障害・衰弱が
あげられること。
@に関しては、光療法によって良好な結果が得れた報告があります。
Aになると生体時計そのものが働くなるので、事態は深刻となります。しかし、場合によっては、残存機能に期待して、光療法を適用してみる価値はあるかもしれません。
アルツハイマー患者への対策としては、前節の「高齢者の不眠」と共通で、昼間の活動量を増やしたり、人・社会との関わりを多くすることが基本です。しかし、より、身体を自由に動かせないケースが多くなってくるため、必然的に光療法を積極的に併用して効果を上げる努力が必要となるでしょう。実際に、光療法を適用した症例がありますので、参考にしてみて下さい。
文献情報:
中高年者の睡眠・覚醒に及ぼす光療法の影響
アルツハイマー型痴呆患者の認知機能と睡眠・覚醒に及ぼす光療法の影響
入院患者の睡眠・覚醒に及ぼす光療法の影響
介護負担の低減
これらの文献を見ると、光療法を実施することにより、アルツハイマー病や認知症の老人の夜の睡眠と昼の覚醒がそれぞれ集中するようなり、健全な生活リズムを刻むように変化していることが見て取れます。逆に、光療法を中止すると、元のような乱れたリズムに戻っているので、光療法の効果が明確に確認されています。もう10年以上前からわかっている事実なのです。
Aの程度にもよりますが、このように、昼と夜のメリハリがついて、アルツハイマー患者が通常の時間帯で生活出来るようになると、その介護を行う者の負担がどれだけ低減されるか計り知れません。夜間時間帯における介護は、在宅,入所にかかわらず、精神的にも体力的にも大変な負担です。したがって、光療法はアルツハイマー患者の介護面での有用性が非常に高いと言えます。
また、副作用等のリスクが極めて小さい治療法なので、介護負担等を考えると、実施しないという選択肢は無いように思います。さらに、本人にとっても、夜十分に睡眠を取れるようになることにより、精神的に安定する傾向が見られるようです。
但し、光療法は、アルツハイマー病の治療や進行を止める効果があるわけではなく、概日リズムの改善によってもたらせれる効果(昼夜のメリハリ)によって得られるその時点での症状の改善であると考えられているようです。
参考サイト:認知症の人と家族の会
認知症フォーラム.com
