不登校と慢性疲労症候群
不登校が慢性疲労症候群の状態にあることが、熊本大学医学部の三池輝久先生(現在は兵庫県立兵庫県立リハビリテーションセンター中央病院勤務)を中心に解明されました。ここでは、その研究成果をインターネットで公開されているものから紹介します。
情報元 | 当委員会のコメント |
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必見! 熊本大学大学院医学薬学研究部 |
不登校・小児慢性疲労症候群の病態や、学校・家庭などでの対応の仕方についての考え方が示されており、一般人向けに書かれいます。是非とも読んでみてください。 実際に、不登校を専門的に扱っている病院はごく希なので、不登校の子供をもつ親や学校にとって、どうして良いかわからない状態がほとんどだと思います。 その意味でこのドキュメントは、学校・家庭において、不登校・慢性疲労症候群の理解を促進し、それぞれ何をしていけば良いかが示唆されているので大変な価値あるドキュメントだと思います。おそらく、このように、病理からその対応までわかりやすく書かれたドキュメントは、これが唯一であると思います。 文献というより、一般向けに書かれた説明書なので、他の文献ページのような要約は不要かと思います。最初からじっくり読んでいただきご理解下さい。
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「疲労の科学」のサイト
III 慢性疲労症候群の病的疲労の研究 熊本大学医学部小児科発達学 |
「疲労病態の治療技術の開発に関する研究」という名称だったので、その治療技術に期待しましたが、状態把握に止まっています。慢性疲労症候群という脳全体に渡る疲労を扱う大きな課題なので、いきなり治療技術が出現すると期待するほうが早計でした。 内容的には、慢性疲労状態では、副交感神経が衰弱していることを確認し、深部体温リズム、ホルモン分泌リズム、睡眠・覚醒リズムなどの生体リズムが破綻していることも確認しています。また、認知障害や学習記憶障害をはじめとする脳機能の低下から、前頭葉、試料領域での血量低下やコリン蓄積があることを突き止めています。 これらの多くの実態把握から、今後は国をあげて早期に治療法を確立する方向への展開を期待したいところです。 著者は、別の資料において適確で有効な治療法は、「高照度光療法」以外には見つかっていないと述べています。 しかし、これだけ多岐にわたる脳の症状を見る限り、治療という観点で見るよりも、著者の指摘しているように「予防」という観点に徹した方策をとる方が全体的にみると早期解決への近道であるように感じました。
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