冬季うつ病の予防と対策2: 光の量

光療法推進委員会

冬季うつ病の予防と対策2: 光の量

高照度の光は冬季うつ病の予防や対策・治療に重要な役割をになっていますが、もう少し光に関して深く理解しておくと有益です。

冬季うつ病の原因は、冬場の日照不足とよく言われます。しかし、この「日照不足」という言葉は実は曖昧で、冬季うつ病の本質を誤って理解しがちになります。たとえば、下記の言葉を突き詰めて考えると何が違うのでしょうか。

  • 日の長さ
  • 日照時間
  • 日照の量

日の長さとは日の出から日没までの時間で、夏は長く冬は短かくなります。日の長さは緯度の違いに起因して地域で異なります。日照時間とは、一定の明るさの日差しが出ている時間のことで、日の長さよりは短いものの、概ね日の長さに比例します。

この日の長さ・日照時間が原因であるならば、冬場の朝と夕方に光を当て、明るい時間帯を長くしてあげれば良いことになります。実際にそのように実施すると効果が得られます。

次に、日照の「量」という考え方を持ち込むと、日照時間は同じでもお天気によっては日照量は大きく異なる場合がでてきます。たとえば曇りの日の場合、一定の明るさはあって日照時間は長くても、日照量は晴れに日に比べて少なくなります。

この日照の量に起因するのであれば、朝・昼・夕を問わず高照度の光を照射すると冬季うつ病に効果があるはずで、実際にそのように実施すると効果が得られます。

これらのことから、十分な光の量を確保すれば、いつ光を浴びるかは重要ではないことがわかります。冬季うつ病の予防・治療・対策等を考える上で、時刻に縛られずに光を浴びれば良いわけです。

注記: 夜に光を浴びるのは厳禁です。睡眠に悪影響を与えます。

冬季うつ病の予防、治療、対策

冬季うつ病は日本中どこにでも見られる

日照の量が鍵であることがわかれば、それに関連していろいろなことが見えてきます。冬季うつ病は、「冬場」で「緯度」の高い地方に多いと言われていますが、この常識が必ずしもそれだけではないことがわかります。いくつか例を上げて紹介します。

  • 太平洋側よりも日本海側
    大まかに言って、日本海側の冬場は曇りの日が多く太平洋側は晴れる日が多い傾向があります。そのため同じ緯度でも日本海側の方冬季うつ病患者の割合が高い傾向があります。

  • 梅雨の時期、曇りの日
    梅雨の時期は、日照時間は長くても日照量が少ないため、この時期に気分が沈む方が多いです。

  • 日照の少ない地域
    沖縄や奄美は南国で日照量も多く冬季うつ病は発生しないように思えますが、実際には冬場に曇りの日が多いため、冬季うつ病が発生しています。

  • 日差しの入らない部屋、山間部
    日差しの入らない部屋や、カーテンを閉め切っている部屋、また山間部で日照を得にくい地域などでは、気分の低下を訴える人がいます。

このように見ていくと、冬季うつ病は緯度の低い地域でもは発生する、また、冬場に限らず日照の量が少ない時期や地域でも発生することがわかります。

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