光療法のモニターテスト結果

光療法推進委員会

光療法のモニターテスト結果

以下は、「うつ病ドリル」と旧「睡眠障害サポート協会」が行った、光療法のモニターテストの結果です。うつ病ドリルのサイトからインターネットによる募集をかけ、それを旧睡眠障害サポート協会が応募者と密に連絡をとってサポートしながら行ったものです。

一通りの結果は見ての通りですが、うつ病ドリルのサイトから募集なので、光療法の観点から見ると、極限られた範囲(疾患)でのテスト結果とご理解ください。また、一般募集してリモートサポートによるテストであったため、たくさんの反省点が残っており、一つのトライアルという理解が正しいかと思います。最後に記述してあります。


「うつ病ドリル」と共同で企画した「うつ病・睡眠障害用光療法の無料モニター」の第1回、第2回目の総まとめを報告します。募集枠20名に対して、80名もの応募者があり、多くのみなさんが関心を持っていただけました。

評価方法については、下記の通りです。「応募条件」と「応募者のモニター実施内容」については、応募要領を参照してください。

  • 「睡眠障害」と「うつ気分」の改善度合いを評価していただいた。
  • 光療法の効果がどの程度あったか、その結果、光療法を継続したいと感じるかどうかを5段階評価していただいた。
    1. とても効果があった。継続して使いたい。
    2. 効果があった。継続して使いたい。
    3. 少し効果があった。継続して使ってもよい。
    4. あまり効果がなかった。継続しない。
    5. 効果がまったくなかった。継続しない。

「睡眠障害」と「うつ気分」で質問内容は同じ。1と2であれば効果あり、4と5であれば効果無しといったところでしょうか。

先に概略結果をお知らせすると、効果にバラツキはあるものの、全体的には効果がある方向に振れる結果となりました。但し、症状が皆さん固有ですので、一概に効果有りと言える訳ではありません。

症状の分類 人数 睡眠障害の改善 うつ気分の改善
冬季うつ病の方 4名 全員に十分な改善効果あり。 全員に改善効果あり。
1年以内のうつ病の方 5名 評価は分かれた。 評価は分かれた。
1年以上のうつ病、
または再発の方
9名 評価は分かれたものの、
改善効果のある方が
かなり上回った。
評価は分かれたものの、
改善効果のある方が
上回った。
合計18名。当選された方はまだ3,4名おられましたが、諸事情により採用できませんでした。

以下の「経過レポート」と「アンケート結果」は生の声をできるだけそのまま掲載しています。

特に、「経過レポート」を開いて見ていただくと、3週間の間に起きたリアルな改善変化が見て取れ、とても有益な理解ができます。5段階評価の効果の有る無しでは現れない、または、読み取れない内容が記載されているので、とても価値のある内容となっています。

逆に言うと、5段階評価は本人の主観(満足度)に大きく依存して客観性に欠ける場合が見られますが、「経過レポート」はサポーターのインタビュー結果も加わってるので、より客観的なデータと言えます。(最後の「課題」参照。)

冬季うつ病の方

睡眠障害に関しては、全員に十分な改善効果が認められ、うつ気分も全員に改善効果があった。

2-1-1

2-1-2

No 地域
性別
年齢
症状 睡眠障害の
改善度合い
うつ気分の
改善度合い
経過レポート

改善変化が見て取れます

結果
4 近畿
女性
31才
冬季うつ病、
概日リズム障害
評価 2
効果があった。
継続して使いたい。
評価 3
少し効果があった。
継続して使ってもよい。
モニター詳細 アンケート
5 関東
女性
38才
冬季うつ病、
概日リズム障害中重度
不眠軽度
評価 2
効果があった。
継続して使いたい。
評価 3
少し効果があった。
継続して使ってもよい。
モニター詳細 アンケート
10 北海道
女性
48才
冬季うつ病、
概日リズム障害中重度
不眠中重度
評価 2
効果があった。
継続して使いたい。
評価 2
効果があった。
継続して使いたい。
モニター詳細 アンケート
28 北海道
女性
32才
冬季うつ病
睡眠障害重度
評価 1
とても効果があった。
継続して使いたい。
評価 2
効果があった。
継続して使いたい。
モニター詳細 アンケート

1年以内のうつ病の方

睡眠障害、うつ気分ともに評価が分かれた。サンプル数が少なく、どのような症状の場合に効果を発揮しやすいかまではつかめていない。

2-2-1

2-2-2

No 地域
性別
年齢
症状 睡眠障害の
改善度合い
うつ気分の
改善度合い
経過レポート

改善変化が見て取れます

結果
6 関東
女性
27才
1年以内のうつ病、
概日リズム障害中重度
不眠軽度
評価 1
とても効果があった。
継続して使いたい。
評価 1
とても効果があった。
継続して使いたい。
モニター詳細 アンケート
1 関東
女性
48才
1年以内のうつ病、
不眠中重度
評価 3
少し効果があった。
継続して使ってもよい。
評価 3
少し効果があった。
継続して使ってもよい。
モニター詳細 アンケート
11 東海
男性
49才
1年以内のうつ病、
不眠軽度
評価 4
あまり効果がなかった。
継続しない
評価 4
あまり効果がなかった。
継続しない
モニター詳細 アンケート
25 関東
男性
35才
1年以内のうつ病
概日リズム障害軽
評価 3
少し効果があった。継続して使ってもよい。
評価 3
少し効果があった。継続して使ってもよい。
モニター詳細 アンケート
24 関東
女性
15才
1年以内のうつ病
概日リズム障害中重
評価 3
少し効果があった。
継続して使ってもよい。
評価 3
少し効果があった。
継続して使ってもよい。
モニター詳細 アンケート

1年以上のうつ病、または再発の方

睡眠障害に関しては、評価は分かれたものの、改善効果のある方がかなり上回った。うつ気分についても同様に評価は分かれが、改善効果のある方が上回った。このケースもサンプル数が少なく、どのような症状の場合に効果を発揮しやすいかまではつかめていない。

2-3-1

2-3-2

No 地域
性別
年齢
症状 睡眠障害の
改善度合い
うつ気分の
改善度合い
経過レポート

改善変化が見て取れます

結果
9 北海道
男性
36才
1年以上のうつ病または再発、
不眠軽度
評価 3
少し効果があった。
継続して使ってもよい。
評価 4
あまり効果がなかった。
継続しない。
モニター詳細 アンケート
2 関東
女性
36才
1年以上のうつ病または再発、
概日リズム障害軽度
不眠重度
評価 2
効果があった。
継続して使いたい。
評価 2
効果があった。
継続して使いたい。
モニター詳細 アンケート
3 近畿
男性
52才
1年以上のうつ病または再発、
不眠重度
評価 5
効果がまったくなかった。
継続しない。
評価 5
効果がまったくなかった。
継続しない。
モニター詳細 アンケート未提出
7 関東
女性
29才
1年以上のうつ病または再発、
概日リズム障害中重度
不眠重度
評価 5
効果がまったくなかった。
継続しない。
評価 4
あまり効果がなかった。
継続しない。
モニター詳細 アンケート
12 北陸
男性
43才
1年以上のうつ病または再発、
不眠重度
評価 1
とても効果があった。
継続して使いたい。
評価 3
少し効果があった。
継続して使ってもよい。
モニター詳細 アンケート
27 関東
女性
25才
1年以上のうつ病または再発、
睡眠障害重度、概日リズム障害重度
評価 3
少し効果があった。
継続して使ってもよい。
評価 2
効果があった。継続して使いたい。
モニター詳細 アンケート
26 関東
女性
25才
1年以上のうつ病または再発、
概日リズム障害重度
評価 1
とても効果があった。
継続して使いたい。
評価 2
効果があった。継続して使いたい。
モニター詳細 アンケート
23 関東
女性
28才
1年以上のうつ病または再発、
睡眠障害重度
評価 1
とても効果があった。
継続して使いたい。
評価 2
効果があった。継続して使いたい。
モニター詳細 アンケート
22 関東
女性
29才
1年以上のうつ病または再発、
睡眠障害重度
評価 3
少し効果があった。
継続して使ってもよい。
評価 2
効果があった。継続して使いたい。
モニター詳細 アンケート

課題

  1. サポートしている側から見ると効果が十分出ていると判断できるのに、本人の評価が低い場合がある(その逆はない)。理由はいろいろ考えられるが、光療法は薬と違って即効性がない治療法なので、3週間のモニター期間では、改善の兆しが見えるだけでも大きな進歩であるのに対して、本人の期待はもっと性急であったり、別の改善項目を期待している場合、また、特にうつ病患者の場合、光療法を長期間にわたって浴びるにはかなりの努力が必要だが、その対価としての効果がひじょうに緩やかで小さい場合、等々が考えられる。

    したがって、本人の判断だけで評価結果を出すのは、客観的で正確な評価ができない場合が十分あり得ると感じた。今回のインターネットを通じたやり方では、このあたりに限界を感じた。

    追記: 
    ご指導いただいている医師の話では、「患者は遠くを見ているとのこと」。少し症状良くなると、更に次を求め、過去の症状の悪さを忘れてしまう。薬のように速効性のあるものの場合はその認識のズレが小さいが、3週間も行う光療法の場合は、3週間後にいくらかでも改善した本人に気持ちとしては、次のもっと良い状態を望むようになっている、とのアドバイスを得た。これはクリニックでも同様ということであった。

  2. 公募条件であった、所定時間の光を浴びることを実施してもらえず、データとして採用できない場合があった。働かれている方の場合、朝の貴重な時間に光療法を実施するのは大変であるのは事前にわかっていることなので、モニターテスト応募条件での確認・確約が大変重要であることを痛感した。また、モニター実施中に所定時間に足りない場合は、厳格に指示を出すべきだった。
  3. 応募者の症状に関しては、医師の診断をそのまま適用する予定であったが、応募時とアンケート回答時で症状の記述が異なる場合があった。(実情にあわせて変更)
  4. 症状の内容が、モニター実施中と、合致しない部分があった。(実情にあわせて変更)
  5. 光療法中に薬の処方が変更となり、薬の効果か光の効果が判別できなくなってしまった場合があった。(そのまま掲載。アンケート結果に表れている。)
  6. 男女比には配慮したが、結果的に、予定していた男性3名が、事情により実施できなかったり、データを採用できなかったりしたので、女性に偏るデータとなってしまった。
  7. モニター期間中にご家庭の事情で負荷がかかり、本来の調子ではない状態でモニターテストを行なわざるを得なかった方がおららた。
  8. モニター開始前に、症状が既に改善されていた方のデータは不採用とした。

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