眠対策 緊急時編
睡眠障害への治療法には、大きく分けて薬物療法と非薬物療法があります。薬物療法は、薬物を用いた治療を行う方法で、
非薬物療法は、薬物を使わずに治療を行う方法です。
薬物療法は、医師の処方に従って薬を飲んで不眠の症状を和らげます。薬は症状に合わせて、医師が診断して、
- ベンゾジアゼピン系の睡眠薬や類似の睡眠薬
- リタリンやベタナミンンといったいわゆる精神刺激薬
- ビタミンB12やメラトニンなどの概日リズム障害向け睡眠薬
などが処方されます。
非薬物療法は、薬物を用いずに治療を行う方法で、たとえば以下のような療法が行われています。
- カウンセリング
- 睡眠衛生指導
- 高照度光療法
- 自律訓練法
- 催眠療法
- 認知療法
- 呼吸法
- 散歩やエクササイズ
もし、不眠の程度がひどい場合は、まずは医師の指導に従いましょう。そして、その治療効果を上げるために、
自分でできる非薬物療法も併せて行ってみてはいかがでしょうか。
クリニックへの相談
不眠で苦しんでいる時は、できるだけ早く、メンタルクリニックや心療内科、精神科、精神神経科、睡眠外来などの診療科を持つ病院にご相談されることをお勧めします。
これらのクリニックの敷居は高くはありませんので、安心して受診できます。不眠は早めに手を打つことが肝要です。
その際、専門医に適切な診断をしてもらうために、あらかじめ、あなたの不眠症状を以下のような視点から整理して病院にいくことが大切ではないでしょうか?
- 典型的な睡眠パターン
- 寝付くまでの時間はどれくらいか?
- 睡眠中に何度も目が覚めるか、どうか?
- 朝の起床時間は?
- 起きた時よく眠ったという熟睡感はどれくらいあるか?身体の異常症状は何かないか?
- 日常生活パターン
- 飲酒、喫煙、カフェインなどの摂取状況は?
- 薬やサプリメントの摂取状況は?
- 簡単な仕事内容と、交代勤務、昼夜逆転、時差ぼけなどがどれ位の頻度で起きるのか?
- 運動やエクササイズ、その他、心身のために行っていることは何があるか?
- 不眠症状の頻度
- いつから不眠の症状が始まったのか?
- 1週間のうち、どれくらいの頻度で上記のパターンが出るか?
- 不眠症状の原因
- 不眠のきっかけとなる原因に心当たりはあるか?
睡眠薬、睡眠導入剤
睡眠薬は、医師によって処方される睡眠に関する薬物です。
睡眠の症状によって4種類(超短時間型、短時間型、中間型、長時間型)の中から処方されます。
- 眠困難や寝つきの悪い場合に使うことが多い睡眠薬
- 超短時間型(ハルシオン、アモバン、マイスリーなど)
- 短時間型(レンドルミン、グッドミン、ロラメットなど)
- 睡眠中に何度か起きてしまう、朝早く起きてしまう時に使うことが多い睡眠薬
- 中間型(ロヒプノール、サイレースなど)
- 中・長時間型(ドラールなど)
- 長時間型(ソメリン、インスミンなど)
また、睡眠用サプリメントとして有名なものにメラトニンがあります。日本では安全性や副作用などが確認されていないので認可されていませんが、アメリカなどでは健康補助用サプリメントとして人気があります。
メラトニンを試したい、と思われているのでしたら、専門医に相談することをお勧めします。
ナイトキャップ(寝酒)の功罪
不眠解消のために行なわれている方法で、一番多いのはナイトキャップ(寝酒)です。
たしかに、少量のお酒を飲むと、脳の活動を抑える神経伝達物質が増えるので入眠には有効です。
しかし、同時に睡眠をコントロールする脳細胞の働きを悪くするため、浅い眠りの時間が増え、良質な睡眠が得られなくなってしまいます。
厚生労働省が研究委託した研究報告でも、ナイトキャップ(寝酒)は不眠のもと、と明言されています。
また、ナイトキャップ(寝酒)で寝る癖をつけると、脳がアルコールに対してどんどん耐性を作るので、同じ効果を得るために、日々、ナイトキャップ(寝酒)の量や度数を増やしていく必要がでてきます。
この悪循環も睡眠の質を妨げる原因となります。
こうしたことから、ナイトキャップ(寝酒)は極力止めるように勧めています。