中高年者の睡眠・覚醒に及ぼす光療法の影響
中高年者に光療法がどのように貢献できるかということは重要なテーマです。なぜなら、年齢が進むにつれ睡眠の質が低下することは避けられず、今後の日本の高齢化社会を考えると、大きな問題であることはまちがいないからです。
情報元 | 当協会のコメント |
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日本睡眠学会抄録
A 5-3 |
札幌市在住で自宅で生活をしている健常な中高年者22名への光療法適応例。 健常者が対象ということもあってか、光療法による大きな改善は見られていませんが、睡眠リズム波形が、 つまり、光療法により睡眠の質が改善されているとが確認されています。
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日本睡眠学会抄録
A 6-4 |
山梨医科大学医学部附属病院の睡眠外来患者3名と健康高齢者4名への光療法の適応例。
光療法と睡眠薬との対比で検討されています。
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J.Illun. Engin. Inst. Jpn. Vol.81 No.12 1997
「光による高齢者の睡眠障害の治療」 |
人間は、高齢になると夜間に覚醒することが多く、また、昼寝をするなど、多相性の睡眠・覚醒リズムが見られることが多くなる。高齢者の睡眠障害の背景にある生体リズムを制御する機構の障害に着目し、治療法としての光療法の重要性を述べています。 高齢者に多く見られる睡眠障害は、入眠と覚醒時刻が前進する、いわゆる早朝覚醒を主とする不眠です。高齢者の体温リズムに関しても、健康な成人に比べて振幅が低かったり、リズムが不規則になっている場合があります。すなわち、生体リズムが全体的に崩れてくる傾向があります。 このような高齢者の睡眠・覚醒リズム酒害の治療法として、同調因子の中で最も強い光療法を使う場合が増えてきました。光療法は、1,2週間で効果が判明します。 認知症を伴う高齢者の社会的働きかけと、光療法をによる治療を行った症例が紹介されています。
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照明学会 第84巻 第6号 平成12年
「特別養護老人ホームでの光療法事例」 |
生体リズム障害の一つである認知症の老年者に見られる睡眠・覚醒リズム障害とそれにともなう異常行動に対する光療法を紹介している。 光療法を認知症患者に適用した症例が3例ほど紹介されています。いずれの症例も夜間には睡眠が中断されたり、入眠障害や早朝覚醒が見られるなど、不規則なリズムを示しるとともに、夜間に異常行動を示していた。 これらの患者に光療法を適用した結果、睡眠・覚醒リズムが整ってきたが、光療法を止めると元に戻ってしまった。つまり、毎日、光療法を実施する必要があることがわかります。
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GERONTOLOGY Vol.16 No.2 2004-4
「高齢者ケアのガイドライン 不眠」 |
高齢者では不眠の訴えが増加する。これは、生体リズムの活動が弱まるためであり、その背景には、様々な原因が隠れていることが多い。そのため、睡眠薬だけでは改善しないことが多く、また副作用も多い。もうろうとした意識で転倒・骨折を引き起こして、日常生活活動が著しく制限されてしまう場合もある。その結果、昼夜逆転現象を引き起こしたりする場合もある。 対策としては、日中の活動を維持して適度に疲れさせる、生体リズムのメリハリを付けることが重要である。そうすると夜の睡眠が安定する。更に、高照度光療法を併用すれば、さらに有効である。
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