自殺者は交通事故死の5-6倍!
自殺対策基本法が2006年に制定された背景には、その数があまりにも多く、実に交通事故死の5-6倍にも上るからだ。
にもかかわらず、2008年に入って硫化水素による自殺者は既に100人を超えた。不幸な事は、硫化水素の自殺では、巻き添え者が出てしまうことがあることだ。助けようとした身近な人が同時に命を落とす羽目になることがあり、2重の不幸となってしまう。
なぜ、このように自殺者が多いのであろうか?
2007年版の自殺対策白書から、箇条書きで抜粋すると、
- 自殺者の4割以上が45~64歳の働き盛りの中高年男性
- 動機は健康問題が約半数。
- 自殺未遂者のうち、何らかの精神障害を持つ人は75%に上り、うち4割超がうつ病
- 失業や長時間労働、多重債務、病気などの要因が複雑に関係して、心理的に追い込まれた末に自殺する場合が多い。
- その多くが直前にうつ病などを発症している。
- 自殺者を減らす有効策として、うつ病対策が急務
これらの調査結果を見ると、対症療法的には、うつ病患者を見過ごさないで、自殺に至る前に治療するということが重要であるが、根本的には、うつ病に至らしめる社会環境全体の何が問題かを突き詰める必要がある。
難しい問題ではあることは言うまでもないが、あるべき社会環境を描き出し、それに向かって突き進んでいく国策が必要となると思われる。