不眠、眠れぬ日本人
「快眠ビジネス拡大中」の記事から抜粋。 眠れぬ日本人 NHK放送文化研究所が五年ごとに実施する「国民生活時間調査」によると、〇五年の日本人の睡眠時間(平日)は七時間二十二分。五年前より一分減と下げ止まる傾向もみられたが、七〇年代より三十分以上少ない。 エスエス製薬(東京都港区)は七月、「不眠白書Ⅲ」をまとめた。二十―六十代の男女千人から回答を得たネット調査によると、ここ数カ月の間に不眠を感じた人は56・5%で、〇三年の前回よりも5・3ポイント増加。日常的に不眠に悩む人は、五人に一人いた。 同社が〇三年四月、大衆薬では初の睡眠改善薬として売り出した「ドリエル」は、六億円の年間販売目標を、わずか一カ月で達成。〇五年は二十七億円まで伸ばし、「十億円で大ヒット」といわれる業界の話題をさらった。発売三年間の人口当たりの売り上げは、東京(1位)、大阪(4位)、兵庫(13位)と、人口密度が高い都市圏ほど多かった。 担当者は「都市部の住民ほどストレスを抱えていることの表れ。睡眠に限らず、体を休めることが注目される時代になってきた」と分析する。 “特効薬”なし 低反発枕やマットレス、いびき防止薬、サプリメント(栄養補助食品)…。快眠をうたった商品の市場は五兆円規模ともいわれる。 業界団体と学識経験者でつくる「日本睡眠改善協議会」は今年三月、睡眠障害や生体リズムなどの専門知識を学ぶ三日間の講習会を開講。受講生五十人に試験を行い、「睡眠改善インストラクター」を認定した。八月には第二回講座を予定。 日本人の睡眠の現状について、同協議会会長の堀忠雄・広島大教授(精神生理学)は「諸外国と比べても短く、これ以上、削れないところまできたのではないか」と指摘。「睡眠の改善に“特効薬”はなく、規則正しい生活を送るしか方法はない。関連商品には効果が疑わしいものも含まれており、正しい知識が必要だ」と話す。 神戸新聞 2006/08/01 |