子供・学生の睡眠障害

光療法推進委員会

子供・学生の睡眠障害

ブライトライト

子供の不眠(中学・高校生)に関して、2006年の夏に衝撃的なニュースが流れました。中学・高校生にまで不眠が広がり、なんと、「不眠で悩む中学・高校生が4人に1人」という調査結果が出たのです。

この調査結果は、兼板佳孝教授(日本大医学部 公衆衛生学)によって10万人規模の大がかりな調査によってわかったものです。不眠が続くと睡眠障害となりますので、調査結果の性質からここでは睡眠障害と捉えた方がより正確であるように思います。このように、子供の世代にまで、睡眠障害という疾患が進行していることが明らかになったわけです。

ここで衝撃的なのは、従来の成人の調査では、睡眠障害や不眠の割合は5人に1人と言われていたのに対して、この調査結果は、大人より子供の方が不眠の割合が高いことを示していることです。

大人と子供では、実社会に出ているかどうかで大きく状況が違うので、一口に不眠と言っても、その原因や深刻さの度合いは異なります。また、調査時期が異なるので、そのまま比較する事は出来ません。しかし、予想もしなかった異常な数値を示していることは確かです。

子供の睡眠障害の特徴的な傾向

最近、そのような状況を裏付ける現象が起きています。当委員会に子供の睡眠障害の問い合わせが急増しているのです。最初は母親から連絡が入り、話を良く聞いてうちに、実は子供の睡眠障害であるということがわかります。典型的な例としては、夜なかなか寝入ることが出来ず、朝起きれない。その結果、学校に遅刻するか、不登校気味になってしまうというものです。

不登校に関しては、さらに複雑で深刻な問題が内在していますので、次の節の不登校と睡眠障害で、もっと深く説明したいと思います。

子供の睡眠障害の場合、多くは、塾通い、夜のゲーム・携帯電話が絡んでいます。夜、塾から帰ってくるのは9時から10時頃が多く、中学・高校生だけではなく、小学校の6年生から受験が始まってこの仕組みに取り込まれる傾向があります。そうなると、家に帰ってきて風呂や所用を済ませるだけで、入眠が12時以降になってしまうのが普通になってしまいます。また、ゲームや携帯に夜中まで熱中してしまう場合には、当然のことながら、朝起きれなくなります。

そして、保育園児まで睡眠不足

そして、5月13日の北海道新聞で、「保育園児の生活乱れ深刻 道保育園保健協が調査 「朝食抜き」「睡眠不足」8割超」という見出しの驚くべき調査結果が報告されました。

保育園単位のデータなので、人数割合で出ている数字ではありませんが、北海道保育園保健協議会が、北海道内の8割以上もの保育園を調査した結果なので驚きを隠せません。要約すると、次のような数字になります。

  • 朝食を時々抜いてくる園児がいる園は、札幌で84%、札幌以外で91%。
    常時抜いてくる園児がいる園は札幌で45%、札幌以外は35%。

  • 睡眠不足児がいる園は札幌で93%、札幌以外で94%だった。
    札幌では7%の園が、園児の三割以上が睡眠不足と回答。

調査を担当した藤女子大保育学科の吾田富士子准教授の話では、これは全国的な傾向で、道内でも同様の傾向が確認されたとのことです。親の生活が優先され、一部の子どもが厳しい状況に置かれているわけです。つまり、一時的な睡眠不足と言うよりは、睡眠障害のレベルに達しているということで、心身の成長に悪影響を及ぼしているということです。

朝食を抜き、睡眠不足の状態で来園している園児の姿を想像すると悲壮感が漂います。健全に心とからだが成長しているとはとても思えません。また、一方で親の厳しい生活状況、つまり、長時間勤務や共働きを余儀なくされる親が多いことが容易に想像できます。親の生活が夜型になり、寝る時間が遅くなって朝食を抜くのが習慣化されてしまっているのです。

長時間保育も常態化し、園児の生活リズムは乱れて、精神的に情緒不安定になったり、疲れやすく体力がない園児が増えていることも同時に報告されているそうです。

子供の睡眠障害の対策

子供の睡眠障害の対策は、基本的には生活習慣の見直しにつきます。子供の場合、身体的な問題を抱えている場合は少ないわけですから、夜遅く塾から帰ってきたら直ぐに寝るようにして睡眠を確保します。また、夜9時以降のゲームや携帯電話を止め、覚醒して不眠になる要因を取り払います。

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それでも朝起きれない頑固な睡眠障害の場合は、光療法を併用して対応していくのが現実的です。次の節で説明する慢性疲労症候群の可能性がある場合にも効果を発揮するので、より適応範囲の広い対処方法でもあります。光療法は、薬と違って副作用も皆無に近いので子供に対しても安心して使用できます。

また、子供の場合、年齢的に睡眠薬を使えない、あるいは、医師としても処方しづらいという状況がありますので、自然療法で対応するのが一般的なのです。

詳細情報:


NHK他メディアでの紹介


概日リズム睡眠障害

子供の睡眠障害・不眠は国家的危機

子供の睡眠障害・不眠は、冷静に受け止めると、日本は国家的に危機にさらされていると言っても過言ではありません。将来を背負って立つ子供の健康状態がこれでは、その先の成長に良い影響があるはずがありません。

NHKのNHK 「10min.ボックス」 2007年第5回 「睡眠不足の危険知っていますか?」でも、子供が睡眠障害や不眠になると、脳の発達が阻害されることに言及しています。つまり、特に精神的な面で健全な大人になれない可能性を示しており、とても恐ろしいことです。

最近、睡眠障害が様々な生活習慣病、精神疾患、事故につながることが公式に明言され、国家的な対策が取られるようになってきています。その意味で、将来の日本を背負う子供の世代でこのような結果が出たことは、将来に憂いを感じざるをえません。抜本的な対策が必要とされているのです。

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